― 着物を愛する方にこそ知ってほしい、歴史・文化・実用性 ―
着物のある暮らしを楽しまれている方にとって、「風呂敷」はどこか懐かしく、同時にとても現代的なアイテムかもしれません。包む文化を受け継ぐ日本人の美意識が詰まった風呂敷は、着物と相性抜群。ここでは、風呂敷の歴史や文化、そして着物との親和性や実用性について深掘りしていきます。
風呂敷の歴史 ― 日本の「包む文化」の原点

風呂敷の起源は奈良時代にさかのぼると言われています。当初は寺院で衣類を包む布として使われ、室町時代になると大名たちが「蔵敷(くらしき)」と呼んで所用品の整理に使用しました。
現代のように「風呂敷」という呼び名が定着したのは江戸時代。湯屋に通う人々が衣類を包むための布として使い、各家の家紋を染め抜くなど、生活文化として広く浸透していきました。
物を大切に扱い、必要なだけ包み、何度でも使い続ける――。
風呂敷は、日本人の“もったいない精神”をそのまま形にしたような存在なのです。
風呂敷の魅力 ― ひと布が生み出す無限の機能性
風呂敷の魅力は「一枚でいくつもの役割を果たす」ことにあります。
●包む
形に合わせて柔軟に包める風呂敷は、箱はもちろん、丸い物・細長い物・不定形の物まで自在に対応。
“ものの形を受け入れる”という在り方は、まさに日本的。
●運ぶ
荷物が多い日はエコバッグ代わりに、ちょっとしたお土産は二つ結びで手提げに。
使わないときは薄くたたんで持ち歩けるのが便利です。
●敷く・覆う
旅先の着替え置きとして、床に敷いてその上で畳んだり、帯や着物を一時的に覆って保護したり。
小さく軽いのに、意外なほど“守ってくれる布”でもあります。
風呂敷と着物の深い親和性
風呂敷は、着物のある暮らしととても相性の良いアイテムです。その理由は大きく3つあります。

① 素材の共通性
綿・絹・レーヨン・ポリエステルなど、風呂敷に使われる素材は着物でおなじみのものばかり。
質感や風合いが似ているため、見た目の雰囲気も自然に馴染みます。
② 美しい“たたむ文化”
着物のたたみ方と風呂敷の使い方には、どちらも「布を整えて扱う」という共通点があります。
丁寧に広げ、しわを意識しながら畳む―そんな所作が似ているため、着物愛好家にとって扱いやすいのです。

③ 文様の調和とデザインの多様性
かつての風呂敷は「麻の葉」「七宝」「唐草」「市松」などの伝統文様が主流でした。
現代では、着物のデザインが令和の感覚でアップデートされているのと同じく、風呂敷も洋モダン柄や北欧風デザインなど種類が一気に広がっています。
しかし、興味深いことに――
日本人はもちろん、海外の方からも根強い人気を誇るのは“和柄”です。
着物との相性が良いのは言うまでもなく、風呂敷を広げた瞬間に美しい世界観が立ち上がるのは、和柄ならではの魅力と感じられる方も多いようです。
和装のある暮らしでの実用例 ― 今日から使える風呂敷アイデア
風呂敷は、着付け教室に通う方、日常で着物を楽しみたい方にこそ「一枚あると本当に便利」。
ここでは、実際に役立つ活用例をまとめました。
●着物バッグのインナーバッグに
長財布・足袋・小物が多くてバッグの中がごちゃつきがちな着物外出。
風呂敷をふんわりまとめて仕切りにすれば、中が整い、色や柄がちらりと見えておしゃれ。
●雨の日の“突発カバー”に
突然の雨で帯やバッグが濡れそう…そんなとき、風呂敷が一枚あればさっと覆えて安心。
撥水風呂敷ならさらに便利。
●旅行の着物パッキングに
長襦袢や帯をまとめたり、脱いだ着物を一時的に包んだり。
“守る布”として、旅先で大活躍します。
●着付け教室のお稽古用に
補整・タオル・帯・肌着など、毎回量が変わるお稽古道具も、風呂敷ならその日の量に合わせて包めて便利。
●箪笥敷きとして「しまう時間」を整える
最近注目されているのが、風呂敷を箪笥敷きに使う方法。
引き出しの底に敷くだけで
余計な湿気を吸う
着物の滑りを抑え、たたみ直しがしやすい
開けた瞬間にほのかに“和”の彩りが広がる
というメリットがあります。
さらに、当社で取り扱っている「ウコン染め風呂敷」は防虫効果が期待される天然の特性を持つため、着物収納との相性が非常に良いアイテムです。
大切な一枚を安心してしまいたい方におすすめです。
まとめ 風呂敷は、着物を愛する人の「心の道具」
風呂敷は「包む」「守る」「運ぶ」という物理的機能だけでなく、布を扱う所作が自然と丁寧になり、気持ちが整う“心の道具”でもあります。
一本の紐も金具もなく、ただ一枚の布で必要に応じて形を変え、また元の平面に戻る――。
この柔らかさと自由さは、着物という伝統文化と深く響き合う日本の美そのものです。
着物で過ごす時間をより豊かにしてくれる風呂敷。
日々の暮らしのなかに、ぜひ一枚取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆:日本和装オンライン運営
