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いま着物を楽しむために補整をおすすめしたい3つの理由

「和装ブラって、本当に必要なの?」
「腰パッドって、なくても着られるんじゃない?」
「補整って、なんだか面倒そう……」

着付けを習い始めたばかりの頃は、そんな疑問を持つ方も少なくありません。
着物は、補整をしなくても着ること自体はできます。
けれど、着付け教室で補整をおすすめするのには、きちんと理由があります。

補整は、単に「着姿をきれいにするため」だけのものではありません。
着物のシルエットを整え、着付けを安定させ、汗や圧力を受け止める。
そしてその先には、着物を着ている時間をより心地よく、安心して楽しむことがあります。

今回は、着付けを始めたばかりの方にも知っていただきたい、補整の役割を3つに分けてご紹介します。

 

1.着物のシルエットをきれいに整えるため

まず、補整の大きな役割のひとつが、着物をきれいに着るための土台をつくることです。
洋服は、身体の曲線に合わせて立体的につくられています。
一方、着物は基本的に直線的な布を身体に沿わせ、衿や裾、帯などを整えながら着ていきます。
そのため、身体の凹凸がそのまま着姿に表れると、布が余ったり、シワが寄ったり、帯まわりが落ち着かなかったりすることがあります。

そこで活躍するのが補整です。
たとえば、腰まわりのくぼみをなだらかにしたり、胸元を整えたりすることで、着物を身体に沿わせやすくします。

補整というと、「身体のラインをなくしてしまうもの」というイメージを持つかもしれません。
けれど、本来の目的は、身体を無理に別の形へ変えることではありません。
今の自分の身体に、着物がきれいに沿うための土台をつくること。
そう考えると、補整の意味が少し分かりやすくなるのではないでしょうか。

着付けを習っていると、「手順通りに着ているのに、なぜかシワが多い」「帯の上や下がすっきりしない」と感じることがあります。
もちろん着付けの技術も関係しますが、実はその前段階にある身体の土台づくりが、着姿に影響していることもあります。

だからこそ、着付けを学ぶときには「どう着るか」だけでなく、「どう整えてから着るか」を知ることも大切なのです。

 

2.汗や圧力を受け止め、着物を守るため

そして、実際に着付けを習い始めると、もうひとつ実感することがあります。
それは、「帯まわりって、思っていた以上に汗をかく!」ということ。
着る前は、帯の中がどれほどの状態になっているのか、なかなか想像できません。

けれど実際には、腰まわりには腰紐やベルト、帯枕、前板などが重なり、さらに帯を締め、帯締めや帯揚げを整えていきます。
それだけいくつも身体に重ねていくのですから、熱がこもりやすく、汗をかくのも当然と言えるでしょう。

ここでも、補整が役立ちます。
ファンデーションや腰パッドなどの補整具は、身体と着物の間に入るクッションのような役割を果たします。

着付けの道具や帯から身体にかかる外側からの圧力を受け止めると同時に、身体から出る汗も受け止め、長襦袢や着物へ汗や湿気が直接移るのを抑える役割があります。

つまり補整には、
「外側から受ける圧力を受け止める」そして「身体から出る汗を受け止める」という、二つの役割があるのです。

特に帯まわりは、着ている時間が長くなるほど、その違いを感じやすい場所。
補整は着姿を整えるためだけではなく、身体と着物の間に一枚のクッションをつくり、快適な着心地を得るための準備でもあるのです。

 

3.着崩れへの不安を減らし、「出かけてみよう」につなげるため

補整の役割を知ると、もうひとつ大切なことに気づきます。
それは、補整が「着物で過ごす時間の安心感」にも関係しているということです。

着付けが終わったときはきれいでも、
「歩いているうちに衿が崩れないかな」
「座ったら帯まわりが乱れないかな」
「長時間着ていて苦しくならないかな」

着物で出かけるとなれば、歩く、座る、階段を上る、電車に乗る、食事をする……。
洋服では何気なく行っている日常の動作にも、着物では少し気を配る場面が出てきます。

もちろん、補整をすれば絶対に着崩れない、というわけではありません。

けれど、身体の土台を整えておくことは、着物や帯を安定させ、着崩れへの不安を減らすための一助になります。そして、これは初心者にとっては特に大きな意味を持ちます。

着ること自体に精一杯だった頃から、
「今日はこの着物を着て、どこへ行こう?」
「この帯で食事に出かけてみよう」
「せっかく着付けを習ったのだから、もっと着てみたい」
と思えるようになる。

そのためには、「これなら大丈夫」と思えることも大切なのです。
補整は、そんな小さな不安を減らすための準備のひとつ。きれいに着るためだけではなく、「着物で出かけてみよう」という気持ちを後押しする準備でもあるのです。

 

補整は「面倒なもの」ではなく、心地よく着るための準備

ここまで見てくると、補整の役割はひとつではないことが分かります。

•    身体の凹凸を整え、きれいに着るための土台をつくる 
•    帯や着付けの道具から受ける圧力を受け止める 
•    身体から出る汗を受け止め、長襦袢や着物へ直接移るのを抑える 
•    着ている間の安定感や安心感を支える

和装ブラや腰パッドは、着るために必要な「道具がまた増えた」と感じるかもしれません。けれど、それは身体を無理に別の形へ変えるためのものではありません。

今の自分の身体と着物との間に生まれる隙間を、ほどよく整えるためのもの。

そして、その「整える」というひと手間が、着たときの美しさや心地よさにつながっていくのです。

最初は覚えることも多く、補整まで考えるのは面倒に感じるかもしれません。けれど、着付けを繰り返していくうちに、

「ここにはこれくらい必要」
「今日は少し減らしてみよう」
「この着物なら、こうしたほうがきれい」

と、自分の身体と着姿の関係が少しずつ分かってきます。
それは、着付けを「習う」段階から、自分で「整える」段階へ進んでいくことでもあります。

 

「整える」ことも、着物を楽しむ時間

現代の暮らしの中で、よく耳にする「整える」という言葉。
身の回りや、生活リズム、そして心と身体。私たちは日々、さまざまなものを「整える」ことで、自分自身を心地よい状態へと導いています。

着物を着るときも、同じことが言えるのかもしれません。

きれいに着るために、自分の身体のシルエットを整えていく。
補整をして、襦袢を整え、衿を合わせ、帯を結ぶ――。

洋服なら、身体に合うサイズのものを選んで袖を通せば、ある程度は着姿が完成します。けれど着物は、自分の身体と向き合いながら、いくつもの工程を重ねて一つの着姿をつくっていきます。

その「ひと手間」は、初めのうちは面倒に感じることもあるでしょう。
けれど、着付けを重ねるうちに、その時間そのものが心地よく感じられる瞬間がきっとあります。

自分の身体を整え、着姿を整えていく。
その動作そのものが、着物を着る楽しさのひとつなのです。

もちろん、補整がすべてではありません。

基本の補整を知ったうえで、一人ひとりの体型や、その人が思い描く着姿に合わせて、補整を減らしたり、足したり、方法を変えたりすることもできます。

「こうでなければならない」という決まりに自分を合わせるのではなく、基本を知った先に、自分に合う整え方を見つけていく。
それもまた、着付けの面白さではないでしょうか。

まずは基本の補整を知ることから。
そして、着物を着るたびに少しずつ自分の身体と向き合いながら、自分らしい「整え方」を身につけていってほしいと思います。

きれいに着るためだけではなく、心地よく着るために。

 

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執筆:日本和装オンライン運営

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