
これまでのコラムでは、絹という素材の特徴や、化繊との違いについてご紹介してきました。
では実際に、絹の着物を着たときの「着心地」はどのようなものなのでしょうか。
今回は、機能や特徴だけではなく、『実際に袖を通したときに感じる“体感としての心地よさ”』に焦点を当ててご紹介します。
袖を通した瞬間に感じる、軽さとやわらかさ
絹の着物に初めて袖を通したとき、多くの方が感じるのがその軽さです。
ふわりとしたやわらかさがありながら、身体に自然となじみ、動きに合わせて無理なく沿ってくれる——
そんな感覚があります。
この心地よさの理由のひとつが、絹の繊維の細さとしなやかさにあります。
絹は非常に細い繊維で構成されており、一本一本がなめらかに曲がるため、布全体としても柔軟で軽やかな質感になります。
実際に教室でも、「思っていたより軽い」「身体にしっくりくる」
と感じる方が多いポイントです。
蒸れにくく、さらりとした着心地が続く
着物を着ていて気になるのが、暑さや蒸れ。
絹は、汗を吸うだけでなく外へ逃がす性質を持っているため、湿気がこもりにくく、さらりとした状態が続きます。

これは、絹の繊維構造が“水分を適度に吸収し、放出する「調湿性」”に優れているためです。
内部に水分をため込みすぎず、外へと逃がしてくれることで、衣服内の環境を快適に保ちます。
そのため、
・長時間着ても不快感が少ない
・肌にまとわりつきにくい
・季節を問わず着やすい
といった快適さにつながります。
特に、少し動いたときや室内外の移動時など、温度差がある場面でも快適さを保ちやすいのが特徴です。
肌にやさしく、疲れにくい理由
絹は人の肌に近い性質を持つ素材ともいわれており、なめらかでやさしい肌触りが特徴です。
その理由のひとつが、絹がたんぱく質(フィブロイン)を主成分とする繊維であること。

人の肌と同じくたんぱく質由来であるため、肌へのなじみがよく、摩擦が起こりにくいとされています。
実際に着てみると、
・チクチクしにくい
・締め付け感が少ない
・長時間でも疲れにくい
といった違いを感じやすくなります。
着付け教室でも、着慣れてくると「やっぱり絹は楽」と感じる方が多い理由のひとつです。
見た目の美しさと着心地はつながっている
絹は見た目の美しさが注目されがちですが、その美しさは着心地とも深く関係しています。
繊維がしなやかで反発しすぎないため、身体に自然に沿い、無理のないシルエットが生まれます。
また、動きに合わせて生まれるやわらかなドレープも、絹ならではの特徴です。
つまり絹は、無理なくきれいに見せてくれる素材ともいえます。
まずは身近なアイテムから取り入れてみる
「いきなり絹の着物はハードルが高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は、
・長襦袢
・半衿
・帯揚げ
など、肌に近い部分から取り入れてみるのもおすすめです。
実際に触れてみることで、絹ならではの心地よさは自然と実感できます。
※日本和装オリジナル『KOSODE襦袢』は、きもの初心者の方がはじめて絹に触れるアイテムとして、親しまれています。

まとめ
絹の魅力は、見た目の美しさだけではなく、実際に着てみて初めてわかる「着心地」にあります。
軽さ、やわらかさ、快適さ―――
そのひとつひとつは、素材としての特性に裏付けられたものです。
受講生の中でも、実際に絹に触れたことで「着物の印象が変わった」と感じる方は少なくありません。
もし迷われた際は、ぜひ担当講師にもご相談ください。
着るシーンやご自身の体感に合わせて、無理のない取り入れ方をご案内いたします。
執筆:日本和装オンライン運営